2018あの街この街1 西四国編
2018年に初めて訪れた街のうち、印象深かったものを数回に分けて取り上げる。
タオルで名高い愛媛第2の都市。今年世間を大いに賑わせた加計学園岡山理科大学獣医学部(今治キャンパス)が立地する。
駅から私道のような細道を抜け、延々と続く坂を登ること徒歩40分、訪問時点では開校直前だった今治キャンパスに到着した。
今治出身の知人に尋ねたところ、キャンパス前の真新しいOUSのロゴは地方都市には珍しいちょっとしたインスタ映えスポットとして有名らしい。「OUS前」で自撮りする女子高生の姿も見られるようだ。
そんな今治の象徴とも言えるのが、今治ラヂウム温泉。1919年建築の国登録有形文化財であり2014年まで入浴施設として営業していたようだ。戦災を免れたレトロモダンな佇まいと、「ゆ」の文字のギャップがなんだか可笑しい。
赤線跡の廃スナックビル「15番街」。
しまなみ海道の開通によってフェリー需要が減少しつつある今治港周辺には、やたらと猫が多い。
かの夏目漱石が『坊っちゃん』において、「温泉だけは立派なものだ」と評した松山の街。名湯・道後温泉は松山の市街地から市電でアクセス可能。どっしりとした和風建築の道後温泉本館は街のシンボルで、中国人観光客の姿も多い。
本館やホテル群の裏手の一角には、10前後のソープランドが位置する。熱海や別府にも見られるような、典型的な温泉風俗である。表通りの賑わいとは売ってかわって静かな一帯には、客引きの空元気な声が響く。
怒られが発生しそうな店名をいくつか見かけた。
昨年訪れたすすきのの無料案内所を彷彿とさせる。
伊予の小京都とも称される、小さな城下町。
城を望む
昭和30年代をイメージしたレトロな商店街「ポコペン横丁」には、日曜日限定で昔遊びを体験できるコーナーがあり、高度経済成長期の情景を再現した空間も設けられている。昭和ノスタルジーの押し売りというか、いささか興醒めといった感もなくはない。
ポコペン横丁
「横丁」周囲のシャッターを下ろした店舗群のほうが、雄弁に過ぎ去った時間の重みや町の記憶を物語っているような気がした。
スナック横丁「栄小路」。地方都市にあって、スナックは地域住民たちの稀少なコミュニケーションの場であり、地域コミュニティを保つ上で重要な役割を持ちうる。
そんな大洲には名建築が存在する。「臥龍山荘」。明治期に別荘として建てられ、背後を流れる肱川と調和した、数寄屋建築の傑作である。小京都の名にふさわしい落ち着いた佇まいに心洗われる思いがする。
月と雲の見立てらしい
7月の西日本豪雨で肱川は氾濫し、町の一部は浸水被害を受けた。自然の恐怖と麗しさは表裏一体であることを思い知らされた。
高知県南西部の港町。
須崎駅前はあまり活気がない。中心市街地は隣駅の大間駅周辺らしい。
リアス式海岸の須崎港周辺はどこか三陸海岸の港町を彷彿とさせる。1960年のチリ地震発生時、1mを超す津波が到達したことを伝える碑が残されていた。
「荘」の字が2つもついてて、なんだか嬉しくなってしまった。
ロードサイド型店舗に客足を奪われた須崎駅からほど近い商店街にあって、古商家をリノベーションした「すさきまちかどギャラリー」はアートインキュベーションの舞台としての可能性を感じさせた。
Girls
ニホンカワウソをモチーフにした「しんじょう君」はここ須崎のゆるキャラ。
城山から見下ろす市街地。この質感というか、コンパクトさがどことなく三陸っぽい。
猫もいる。
何屋だったんだろう。