2018あの街この街3 雨の尾道
2018年に初めて訪れた街のうち、印象深かったものを数回に分けて取り上げる。
今回は、瀬戸内の坂の街。
初めて訪れた街の印象は、天候で決まる。広島県内に大雨警報が発令され、市内で開催される予定だったポルノグラフィティの野外ライブが中止された日に、尾道を訪れた。
駅を降り、山側をうかがう。近くに見える天守閣は、戦後に建てられた観光用の建築物、「尾道城」。現在は廃墟らしい。
アーケードの尾道本通り商店街をゆく。
路地から山側を望めば、ひしめき合う家々を目にすることができる。
麻雀牌と花札のイラストがすき
千光寺公園を目指す。
階段、踏切、傘
上を見ても下を見てもエモい
天寧寺三重塔の上から眼下を見渡す。思わず「アッ、尾道!」と叫びたくなる。
千光寺へ。
千光寺公園頂上展望台から対岸の向島を望む。尾道水道は川のように狭い。
尾道を舞台にした作品は数多い。中でも映画『東京物語』とアニメ『かみちゅ!』における尾道描写は旅情を掻き立ててくれる。新アニメ『ソラとウミのアイダ』は、それらに並ぶような作品となるのだろうか……
ロープウェイで再び市街地へと下る。
「趣味の小さな博物館」という名に惹かれたものの、どうやら閉館してしまったらしい。館長のコレクションを展示する知る人ぞ知る観光名所だったとのことで、惜しまれる。
無心になって写真に撮りまくっていると、濡れた石段に足を滑らせ、尻餅をついてしまった。
高低差にくわえ、路地空間の豊かさも目を楽しませてくれる。
細い尾道水道を挟んだ向島へとフェリーで渡る。5分間隔で運行される住民の足。
この平穏な島は、今年4月、一躍有名となった。松山刑務所から脱走した平尾龍磨がこの島に潜伏している可能性が高いとされたのである。取材班が押しかけ、数百人体制での捜索が行われた。警察を煙に巻いた平尾は最終的に、広島市内で確保される。
駅側へと戻る。家々の密集度合い、質感が尾道らしい。
石段、坂、海。数歩で劇的に変化する景色。ふらふらとさまよいながら、必死になって自分だけのアングルを見つけたくなってしまう。低く垂れ込めた曇り空は、この街の狭さと妙にマッチしていた。