ふわふわ不和

都市と死

【寄稿】創造と継承~映画の父に捧ぐ、HIKAKIN&SEIKINの『今』

今回の記事は、匿名希望氏の寄稿をそのまま掲載する。

 

 

創造と継承~映画の父に捧ぐ、HIKAKIN&SEIKINの『今』

去る11月9日、今日のYoutubeの顔といっても差し支えないであろうHIKAKIN&SEIKINの新曲、「今」が配信リリースされた。

 

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MVの一番の見せ所はなんといっても終盤の「長尺の逆再生一発撮り」だろう。


結論から言おう。

本MVは、HIKAKIN&SEIKINによる、映画の父リュミエール兄弟に捧げるオマージュである。

 

リュミエール兄弟といえば、世界初の実写映画『工場の出口』を手がけただけでなく、『壁の崩壊』において、逆再生の手法をいちはやく動画に取り入れたことでも知られている。

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この「壁の破壊」というモチーフはHIKAKIN&SEIKIN名義で発表された最初のMV、『Youtubeテーマソング』にも見出すことができる。

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壁を
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壊す


また、SEIKINの2ndシングル『Keep Your Head Up』の歌詞中においても、「今、壁を越えていこう」というメッセージが強調されている。

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Youtuberという職業は長らくイロモノ扱いされてきたし、今でもそのように捉えられているのかもしれない。YouTuberの先駆者としてHIKAKIN&SEIKINが目指していたのは、他ならぬ「素人動画」「詐欺」といった偏見という壁の打破である。


映画という光の芸術を開発したリュミエール兄弟―奇しくも、リュミエールLumière)はフランス語で光という意味を示す。映像を通じて人々の心を動かすYoutuberのパイオニアであるHIKAKINの本名が「開發光」であることに、単なる偶然以上の意味を見出したくなる。

 

(続く)